産業廃棄物収集運搬業許可や特別管理産業廃棄物収集運搬業許可を取得する際、そして取得した後もなのですが特に注意を払わなければいけない事項の一つに「産業廃棄物の飛散・流出をさせない」ということがあります。
産業廃棄物収集運搬業許可や特別管理産業廃棄物収集運搬業許可の申請を審査する各行政庁も、その当たりを一番気にしております。特に特別管理産業廃棄物収集運搬業許可の申請においてはその点が顕著です。
では飛散・流出はさせない運搬とどうするのかというと、運搬する産業廃棄物の形状にあった運搬容器に入れかつ、状況によっては運搬する車両の荷台にシート掛けをする、若しくはロープ養生をするのどの措置も必要になります。このページではまず「飛散流出をさせないための運搬容器」についてお話をさせて頂きます。
産業廃棄物ごとの運搬方法
容器について
産業廃棄物の運搬方法の大部分はトラックによって行われており、その積み込み・運搬・積み下ろしの際に飛散・流出しない方法で行う必要があります。
車両の荷台に直積みする方法での運搬では廃棄物が飛散・流出する可能性がある場合は、容器を用いなければなりません。東京都では以下のような指針を示しております。
産業廃棄物の種類 | 飛散・流出防止の対策例 |
汚泥、動植物性残さ、動物の死体 | 車両:水密仕様のダンプ 容器:ドラム缶(オープンドラム) |
廃油 | 車両:タンク車 容器:ドラム缶(クローズドドラム) |
廃酸・廃アルカリ | 車両:耐腐食性のタンク車 容器:ケミカルドラム(クローズドドラム)・プラスチック容器 |
燃え殼・ばいじん・鉱さい | 車両:水密仕様のダンプ・密閉コンテナ車 容器:ドラム缶(オープンドラム)、フレコンバック |
動物のふん尿 | 車両:タンク車 容器:ドラム缶(オープンドラム) |
その他の産業廃棄物(脱水後の汚泥) | 車両:ダンプ 、容器:フレコンバック |
(オープンドラムの例)
使用するトラックの許可要件について
誰の車両を使わないといけないか?(車両の使用権限)
① 使用者と申請者が一致していること。
② 使用者欄が空欄で、所有者と申請者が一致していること。
※リース車両はOKですが、レンタルはNGです
ディーゼル車規制
① 東京都では、PM(粒子状物質)の排出規制がおこなれております。
排出基準に満たない車両は東京都内を走行出来ません。
土砂等禁止車
車検証の備考欄に、土砂等禁止車の記載がある場合には、汚泥・ガラス陶磁器くず・がれき類は運搬出来ません。
車両には”表示義務”というものがあります
運搬車の両側(ドアの両側)には、環境省令で定めるところにより、産業廃棄物の収集又は運搬の用に供する運搬車である旨その他の事項を見えやすいように表示し、かつ、当該運搬車に環境省令で定める書面を備え付けておくこと。
車両の保管場所の使用権限
使用する運搬車の駐車場は以下の証明書を以て、証明しなければなりません
所有 ⇒ 土地の登記簿謄本又は自動車保管場所の証明書(本人控え写し)
賃貸借 ⇒ 賃貸借契約書又は自動車保管場所証明書(本人控え写し)
運搬車(トラック)に関する許可の基準は
大体このようになっております。
事前(申請前)に購入(リース)しておかなければなりません
以上の様に産業廃棄物収集運搬業許可を取得するためには、運搬する産業廃棄物の形状に合わせた「運搬容器」と「車両」が無ければなりません。
そして、当たり前なのですが、「産業廃棄物収集運搬業許可を新規で取得しよう」と思っていらっしゃる業者さんは、その申請前には「許可がない」状態なので、産業廃棄物関連の業務をすることが出来ません。それ故に「車両や運搬容器はまだないよ。許可が出て、業務が可能になったら買います」という業者さんもまれにいらっしゃいます。このように仰る業者さんにお気持ちもわかるのですが、産業廃棄物関連の申請においては「車両や運搬容器」に関しては「申請時には必ず所有(使用)権限を持っていること」が必要のなりますので、「事前のご購入を」お願いいたします。